出会い



東京。
とあるオンラインゲームのギルドチャット。

フィル:今度さ、うちのギルドでオフ会しない?

くま:あぁ、オフ会か~確かにしてみたいな

レイラ:いいねいいね!やってみよ!いつにする?

ペータ:オフ会ですか、やってみたいです

フィル:よし!じゃあ今週の日曜日にハチ公前に10時集合ってとでよろしく!お疲れ様ぁ!

僕はペータと名乗ってアヴァベルオンラインというゲームをやっていた。普段なら何気なくギルメンと狩りをして解散なのだが、たまたまマスターの思いつきによってオフ会をすることになった。幸い僕達のギルド「すなふぃる」は全員が東京住みということで会うこともオフ会も出来るという考えらしい。

このゲームは昔からやっていてかれこれこのメンバーとも2年の仲なのでリアルでの姿を見てみたいと思っていた。唯一分かってることがマスター、つまりフィルは僕と同じ高校生。レイラさんが大学生のくまさんが社会人ということだけだ。正直自分の姿を見せるのは恥ずかしかったがマスターは一度決めたら意見を変えないわがまま娘でもあるためやるしかないと心に決めて毎日を過ごした。




約束の日曜日。僕は集合場所であるハチ公前に向かっていた。ゲームでは何度も話したことがあるメンバーなのにリアルで会うというだけでこんなにも緊張してしまっていた。実際待ってる間も周りが気になって仕方なかった。スマホを見てみるとLINEに通知が来ていた。

フィル:みんなもう着いたー?

くま:そろそろ着く予定 

レイラ:私ももう着くよ~

フィル:私の服装は白いワンピースに帽子を被ってるから!

くま:わかり易いなw

フィル:これしかいいのがなかったの!(〇`Д´〇)
てかもうハチ公前に着くから!みんなのことはゲームの名前で呼ぶからね!

ペータ:僕はもう着いてます。服装はジーパンとジャケット着てます。

なるほど、くまさんとレイラさんは今向かってるとしてフィルはもう着いたのか。
どんな人なんだろうな… そう考えていると後ろから声をかけられた。

  「あの…ペータ?」

女性の声がして慌てて振り向くとそこには白いワンピースに帽子をかぶった女の子が恥ずかしそうに立っていた。急いでLINEを確認して服装のとこをみてみるとフィルが言っていた服装と全く同じ格好をしていた。

 「もしかして…フィル?」

そう声をかけるとフィルと呼ばれた少女は嬉しそうに頷き僕に抱きついてきた。僕は咄嗟のことに反応できずただ目の前の現状を受け入れようとしていた。しかし、フィルも女の子なんだ。あるところはある。それを抱きついているペータはダイレクトに感じてしまう。

「ちょ、ちょっとフィルさん?すこし離れてくれないかなぁ…?そのなんていうか…当たってるんだよね…」
(よく考えるんだ僕。落ち着け。目の前の女の子はフィル。そうギルドでよく会うワガママ娘でマスターのフィルなんだ。しかし、)
  
しかしフィルは少し考えたあと分かったという顔をして今度は更につよく抱きついてきた。そして耳元でこう囁いた。
「当たってるんじゃなくて…当ててるの」
僕は顔まで熱くなりながらも必死に離れようとする。

これ以上はやばい。こんなのをくまさんたちに見られたらそれこそやばい。一刻も離れないと…

「フィ、フィルと…ペータ?」

はい詰んだ。来ちゃいました。まさかのフラグ回収しました。後ろから声をかけられ恐る恐る見るとそこには2人の男女がこちらを見ながら苦笑いしていた。たぶん男がくまさんで女がレイラさんだ。まさかこんな時に2人に会うとは…。なんで今日は運がないんだ。そんな僕の気持ちを他所に元凶であるフィルは何も無かったかのように二人の元に駆け寄って話していた。初めてギルメンでリアルで集まった。ゲームの時と雰囲気がみんな同じだったから話しやすかった。ここでフィルが立ち話も疲れるからどこかファミレスに行こうと提案し僕達は近くのファミレスまでいった。

「じゃあみんな知ってると思うけどここでもう一度自己紹介でもしよ!」

この一言により今から波乱が起きることをまだだれも予想していなかった。

まずはくまから。フィルに言われくまさんは自己紹介を始めた。
「みんなも知ってると思うけどプレイヤーネームはくま。ゲームでの職業はレンジャー。いやらしく攻めるのが趣味かな」
くまはゲームの時と違って少し大人びてる雰囲気があった。歳もさほど離れてはいないのにここまで違うと自分に自信がなくなってくるな…。たしかくまさんには家庭があると聞いたことがあったけど実際大変なんだろうな。たまにギルドチャットで起きたことを教えてくれる。

次はレイラね!そう言われてレイラさんも自己紹介を始めた。
「プレイヤーネームはレイラ。ゲームでの職業はくまさんと同じレン!ちなみに今は付き合ってる彼氏が居まぁす!」
最後の情報は要らないだろ。。レイラさんはゲーム歴が長く、他のゲームではかなりやり込んでいたトッププレイヤーらしい。アヴァベル歴は僕の方が長いけど、すぐにレベルも追い抜かれてしまった。

そんなこんなで2人の自己紹介も終わり自分の番が来た。
「僕のプレイヤーネームはペータです。職業はモンクです。以上です。ちなみに高校生で彩南高校に通っています。」予想以上に言うことがなくて早く終わってしまった。そんなとき急にフィルが驚きの言葉を言った。

「私も彩南高校だよ!」

僕は思わず飲んでいたジュースを吹き出しそうになった。そして慌ててフィルの方を見るとこちらを見て笑っていた。そして、自己紹介を始めた。

「私のプレイヤーネームはフィル。知ってのとおり回復系の職業ですなふぃるのギルドマスターをしてます。ペータと同じ高校生で彩南高校に通ってます。ちなみに好きな人は…秘密です!」そういってフィルは僕の方を一度見ると顔を紅くして顔を背けた。僕には分からなかったがくまとレイラは分かったようでニヤニヤしながら僕の方を見ていた。

1通り自己紹介が終わったあとみんなで昼食をたべてアヴァベルオンラインをそこで始めた。楽しい時間も過ぎ夕方僕達は帰ることになった。帰り際レイラさんがニヤニヤしながら僕にこんな事を聞いてきた。

「ペータは好きな人とか居ないの?」

なぜ今そんなことを聞くのかと聞くとレイラさんは気になったらと誤魔化しながらニヤニヤしていた。フィルの方を見るとフィルも気になる感じで僕の答えを待っていた。諦めて僕は好きな人について話した。

「まぁ気になってる人なら学校にいますよ」

するとレイラさんは歓声をあげながらさらに深く聞いてきた。さすがに困りフィルに助けを求めようとしたとき僕はゾッとした。フィルの目からはハイライトが消えなにやらずっとブツブツいっていた。慌ててフィルに声をかけるとすぐに元通りになり何でもないよと言った。そのまま僕達は解散しギルドのオフ会は終了したのだった。